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Political reform outline
政治改革大綱

維新版 政治改革大綱 目次

令和 6 年 1 月 29 日

維新版 政治改革大綱

日本維新の会
政治改革実行本部

第一章 政治改革の考え方

【現状認識】

我が国の政界はいま、過去に類を見ないほどの激震に晒されている。令和5年に発覚した自民党の派閥と所属国会議員たちによる政治資金パーティーの不正な売上操作と、キックバックによる多額の裏金づくりは、国民に今なお大きな衝撃を与え続け、信頼回復への端緒すら見出すことができない。この疑獄事件をもって「リクルート事件の再来」と呼ぶ者もあるが、今回の事件は大企業や外部組織が介入するのではなく、政権を預かる与党・自民党の議員たちが永年にわたって意図的かつ組織的に違法な裏金づくりに勤しんでいたという点で、より深刻な政治不信を招く極めて悪質なものであり、到底看過できるものではない。

翻ってその自民党は、まさにリクルート事件を受けて平成元年5月に「政治改革大綱」を発表している。その中でも派閥の弊害解消や政治資金のあり方、選挙制度や国会運営に渡るまで多岐に渡る改革提言が提示されていたが、残念ながらそのほとんどの改革は実行されることなく今日に至り、派閥と所属議員による多額の裏金づくりが発覚にする事態に陥った。長期にわたり政権を与りながら、金権政治を打破することがまったくできなかった自民党では、もはや政治改革を完遂することは不可能であると断じざるを得ない。

今こそ自民党にかわる責任政党が先頭となって、口先の改革案を提言するだけでなく、真の国民目線・納税者目線で政治を浄化し、腐敗の撲滅を断行することが我が国の未来をひらくために必要不可欠である。

【改革の方向性】

頻発する「政治とカネ」問題に対して、国民の不信・不満が頂点に達していることは明白であり、政治資金改革は避けて通ることはできない。しかしながら、この問題を政治資金パーティーや政策活動費、政治資金規正法の問題だけに矮小化しては、政界刷新にたどり着くことは不可能であろう。なぜならば、政治に金がかかる金権政治、そしてぬるま湯・馴れ合い・もたれ合いを生み出す癒着構造は、与野党の勢力が固定化して政権交代が起きない緊張感の欠如から生み出されており、それは選挙制度や国会運営と切っても切り離せないものだからである。

したがって、①政治資金のあり方を見直すのはもちろんのこと、我が党は②選挙制度改革③国会運営の抜本改革まで幅広く提言を行うこととした。とりわけ議員が自分の身分に固執するように設計されている選挙制度や昭和の時代からほとんど変わらない国会運営は、国民目線で見れば金と時間ばかりを浪費をする極めて非合理的なものに映っており、この改革を前に進めることは国民から広く受け入れられるものと確信をする。政治資金の問題は、我が国を取り巻く政治構造と腐敗の「出口」「表層」に過ぎず、その根底にある構造問題を丸ごと解決して政治を浄化するという基本理念のもと、政治制度全般の改革をここに提言する。

【改革への決意】

元号が令和へと変わり、テクノロジーの進化とともに社会の様相は大きく変わっていった。にもかかわらず、政界や国会運営、そして「政治とカネ」を巡る状態は、まるきり昭和の時代から時計の針が止まったままである。長らく権力を掌握してきた自民党は、自分たちの身分に代表される既得権を守るための仕組みを政界の隅から隅まで張り巡らし、未来志向で合理的な改革を拒み、本来大切にするべき民間感覚を失った。そうした既得権志向、先送り体質の自民党によって政治改革大綱が策定された平成の時代は、まさに「宿題をやらなかった夏休み」である。政治改革の必要性を自ら認識しながらも、それを実行することができず、惰眠をむさぼり改革を先送りにした。この歴史的事実は、この上ないほどにしがらみから抜け出せない惰性の政治を象徴している。

しかし、これ以上の先送りは許されず、現在の延長線上に解決策はない。我々は重大な決意のもと、目の前に山積する課題の解決と、前例にとらわれない抜本改革に全身全霊で取り組み、負の遺産を一掃する。

それは一党派だけの提言・行動では完遂できるものではない。与党ですら打破できなかった構造を動かす改革の道のりは、決して平坦なものではないが、改革の必要性は党派を超えて心ある議員たちに共有されていることを我々は信じる。野党のみならず、与党に所属する改革派の議員とも叡智を結集し、今こそ自らの身分・待遇を捨て去る覚悟で、国民にあたらしい政治の姿をしめすときである。

第二章 政治改革の内容

【政治資金改革】

  • 1

    企業団体献金の完全廃止

    企業団体からの多額の献金が政策決定を歪める弊害については、かねてから指摘が繰り返されてきた。自民党は「政治改革大綱」の中で「情実や直接の利害がからむ場合がある」ことを認めながら、自由主義経済において法人が重要な役割を担っていること等を理由に、企業団体献金の廃止提案を見送った。しかし、平成6年に政党助成金制度が与野党合意で開始された際には、企業団体献金の廃止とセットで行われることが前提となったはずである。にもかかわらず、企業団体献金は「政党が受け取ることは例外的に認める」とする抜け穴によって、政党支部が雨後の筍のように設立され、実質的に議員本人が手にするという以前と変わらぬ運用がなされている。

    企業団体献金は政党支部も含め、例外なく禁止する立法措置を講ずる。また、企業団体が政治団体を設立し政治家もしくは政党に献金する「抜け道」をふさぐ措置も同時に講ずる。なお、日本維新の会はすでに同趣旨の法案を議員立法として提出し、内規によって企業団体献金を受け取らないことを定めている。

  • 2

    旧文書通信交通滞在費(調査研究広報滞在費)の使途公開

    旧文書通信交通滞在費の使途公開を始めとする見直しは、与野党で合意されたにもかかわらず、未だに実現を見ていない。非課税で受け取り、領収書添付なしで使用できる旧文書通信交通滞在費は議員特権そのものであり、民間感覚では到底受け入れられるものではない。そしてこの不透明で特権的な資金こそが、政治家の納税意識や政治倫理に悪影響を与えていることは明白である。議員の収入であれば納税義務が生じるのであり、経費であればその使途は速やかに公開されなければならない。

    よって、可及的速やかに使途公開と残金返納を義務付ける立法措置を講ずる。なお、日本維新の会はすでに旧文書通信交通滞在費の使途および領収書を自主的に公開することを内規で定め、所属議員が実行している。

  • 3

    政治資金パーティーのあり方の抜本的見直し

    政治資金パーティーとは本来、草の根民主主義を支える手段である。組織や看板を持たないものが、広く薄く、多くの支援を集めるために会合を開く。新たな人材が政界に参入するための、いわばチャリティーイベントのような手段は、民主主義にとっていまだ重要であろう。一方で今の政治資金パーティーは、その本来の趣旨から大きく逸脱し、パーティー券の大口購入者は企業団体ばかりで、企業団体献金の代替として利用される体たらくとなり、今日の裏金問題が発生するに至った。また、政治資金パーティーの対価に係る収入は現在、法令に明確な根拠がないまま特権的に非課税扱いになっているが、仮に民間事業と同様に収益事業として課税されていれば、今回の裏金事案は政治資金規正法違反と同時に脱税として処罰されたはずである。こうした現行の政治資金パーティーの仕組みは、抜本的な見直しが必要である。

    具体的には、広く薄く草の根の支援を集める本来の趣旨に立ち返るため、企業団体によるパーティー券購入は禁止する。パーティー券の購入・販売には上限を設け、大口の購入・販売を制限する。パーティー券の購入者は政治資金収支報告書にすべて記載し、報告する。あわせて情報公開の方法には後述の段階制(公開範囲の再設定)を導入し、外部監査の強化を前提に、プライバシーを保護しつつ透明性を担保する。加えて、パーティー券の購入についても個人献金同様あるいはそれ以上の寄附税制を適用するなど、個人による少額からの購入を促す仕組みを検討する。日本維新の会としては、法律が制定されるまでの党内運用については、新たな内規を定めて販売制限や自主的な情報管理を行う。

    同時に、そもそも政治資金パーティーの対価に係る収入が政府の解釈によって課税対象にならないという、議員特権が疑われるような状態については、解釈変更や法改正により位置づけを明確化することを検討し、政治家の政治倫理と納税意識を是正する。

  • 4

    個人献金の促進

    企業団体献金やパーティー券販売にかわって、政治活動を支える重要な要素となるのが個人献金である。日本では活発と言い難い個人献金を促すため、献金者の情報公開範囲についてはプライバシーに配慮して見直すとともに、現在は国会議員・都道府県議会議員・指定都市議会議員の政治団体のみが対象となっている寄附控除の範囲を、すべての地方議員や首長にも拡大する。寄附の控除についても、所得控除より恩恵の大きい税額控除にすることや、控除率の大幅な引き上げを検討する。

  • 5

    政治資金収支報告における公開範囲の見直し

    政治活動やそれに伴う収支については、できる限り透明化することが望ましいことは論をまたず、現行の政治資金規正法もそうした趣旨に則って立法されている。しかしながら、個人のプライバシー意識は時代とともに大きく変わっている。寄附金控除を希望すると実名・住所がすべて詳らかにされる運用は、この情報化社会において多大なるリスクが生じ、明らかに寄附文化を阻害する要因となっている。また政党にとっても、相手方のプライバシーへの配慮等から機密にせざるを得ない情報があるのは事実であり、過度な情報公開基準は情報隠蔽の誘引因子となりかねない。

    そこで、収支における個人情報や領収書等の公開範囲について見直しを行う。具体的には、政治資金収支報告書にはすべて記載するものの、氏名や住所などについては一部あるいは全部の非公開も選択できることとする。同時に、後述のように外部監査の機能を強化し、公開されない情報についてもしかるべき機関と外部監査者にはすべて報告し、厳格な監視が行われる体制を構築する。

  • 6

    政治資金に関する包括的なチェック機関(外部監査)の導入

    現行の政治資金規正法等においても国会議員関係政治団体には登録政治資金監査人による政治資金監査が義務付けられているが、形式的なチェックに留まり不正を検出・抑制する仕組みになっておらず、また派閥の政治団体は特例で国会議員関係政治団体とならないなど、完全に形骸化している。しかるべき権能と第三者性をもった包括的なチェック機関を創設し、外部監査機能を強化する。

    外部監査の導入・強化については、政治活動の自由を阻害するという観点から慎重な意見もあるが、頻発する「政治とカネ」問題に鑑みれば、政治家たちの倫理と自制心に任せる運用が限界を迎えていることは明らかであり、これを契機として先進的な外部監査機能・外部監査制度をしっかりと整備するべきである。

  • 7

    領収書に紐づかない政策活動費の廃止と透明化

    政党からは個人に対して寄附することができるという、政治資金規正法の例外規定を利用し、政党の要職者が領収書のいらない「政策活動費」として多額の資金を差配する脱法的な行いがこれまで容認されてきた。しかしこの政策活動費はその使途がまったく追えないことからブラックボックス化しており、不適切な生活資金や選挙資金になっているとの疑惑が絶えない。そしてついには今般の裏金問題において、この政策活動費を名目に捜査の手から逃れようとする者が発生し、もはやこの政策活動費の存在を容認することは国民目線で到底理解されるものではない。政党から個人に寄附できるという例外的な規定を見直し、現行の領収書に紐づかない闇金である政策活動費は廃止し、透明性を向上させる。

    ただし、相手方へのプライバシーへの配慮等を理由に、実態としてすべての領収書を公開しづらいケースは政党運営にとって生じうることから、一部公開や将来的な公開・外部監査の強化を前提とした新たな制度を構築することを、前述の情報公開範囲の見直しと併せて検討する。この新制度ができるまで当面の間、日本維新の会としては厳格な内規を設け、公開しない領収書であってもすべて保管して監査を受けること、勘定科目毎に詳細な金額を収支報告書に記載すること、一定期間後に当該領収書を公開することを定め、党運営において領収書に紐づかない不透明な政治資金は金輪際発生しない措置を強化する。

  • 8

    政治資金規正法および政党助成法の罰則・規制強化

    政治資金規正法および政党助成法においては、現行、原則として政治団体の収支報告書の記載・提出義務者は、会計責任者のみとなっており、収支報告書の不提出・不記載・虚偽記入があった場合、会計責任者が一義的に責任を負い、代表者は、会計責任者の選任及び監督について相当の注意を怠った場合にのみにしか処罰されない法律構成になっている。しかし、これは明らかに実態と乖離しており、政治家の責任逃れを可能にすることから、多くの国民が深い疑念を抱いている。政治資金規正法および政党助成法の責任規定については早急に見直し・強化し、政治家本人が原則として責任を負うものとする。

    また、政治資金収支報告書はデータ形式での提出を義務化してデジタル化を推し進めるとともに、政治資金の決済、とりわけパーティー券の販売などは銀行振込やデジタル決済を奨励するなど、不正の起こりにくいキャッシュレス化を政界から率先する。

  • 9

    政治団体の行う収益事業に対する課税

    現行の制度下において、政治団体の事業収入の多くが非課税とされている。政治資金パーティーが非課税であったことは裏金づくりの誘引となり、また物販のように本来は課税対象とされるべきものでさえも、国税庁が政治活動に対する配慮から躊躇し、適切に徴収されていないケースがあると考えられる。しかし、政治家・政治団体による政治活動だから税制上も優遇されるといった根拠法令は我が国には存在せず、このような状況は政治家に対する特権的扱いとも言え、平等な税制の観点からも見直しが必要である。

    この問題に対処するため、政治団体が行う事業活動全般にわたって課税する法改正を行う。すなわち、政治資金パーティーを含む収益事業全般に対して、民間企業が行う事業活動と同じ基準で課税対象とし、透明かつ公正な課税を実施する。同時に、国税庁による課税執行の運用についても見直しを図り、政治家・政治団体に対する不当な配慮や躊躇を排除し、税法に則った民間同様の公平かつ厳格なチェックと課税が行われるよう改善する。

  • 10

    政治団体の親族による相続の禁止

    引退する政治家がその地盤を、政治団体ごと身内に継承させるいわゆる「世襲」事例は非常に多くなっている。いかなる者であっても自由に立候補する権利は憲法の保障するところであり、こうしたいわゆる「世襲」そのものを禁止することは容易ではないが、政治団体の継承には問題点が多く、著しく不公平との指摘が絶えない。特に政治団体にストックされた資金は非課税であることから、多くの資産が課税されることなくその後継者にわたることになり、これは他の立法と比較してもバランスを欠く。また、相続税を逃れる手法としても悪用されかねない。親族間の政治団体およびその資金の継承については規制、あるいは課税措置を講ずる立法を早急に策定する。

  • 11

    政党・政治家に税金から支給される資金の再整理と透明性向上

    政党や政治家には、様々な制度を通じて資金が助成される。政党交付金に加えて立法事務費、旧文書通信交通滞在費、広義には公設秘書にかかる費用なども税金からの支出である。こうした複雑で多岐に渡るお金の流れが透明性を失わせ、既得権を生み出す温床となっている。

    そこで、将来的にはこれらの資金制度を一元化して政党・政治家に支給し、その資金の情報を集中的に公開することで、透明化に資する仕組みを講じる。

  • 12

    「政党法」制定による政党ガバナンスの確立

    以上のような様々な政党・政治家を巡る政治とカネの問題を包括的に整理するためにも、現行法の改正を含めた新たな立法措置は欠かせないところであるが、そもそも我が国では長きに渡り議論されてきたにもかかわらず「政党」を規定する確たる法律が存在していない。そのため、政党運営にあたっては政治資金規正法や政党助成法など個別法に則る他なく、資金面・組織面等の諸規制が有機的に結合できていない。これが政党の公共性を曖昧なものにし、そのガバナンスを失わせてきた。

    そこで、個別法で規定された政党の規制を集中・独立・深化させ、政党を公的存在と認めた上で必要な内部組織規定を加えた「政党法」を策定する。その新たな立法による枠組みの中で、政治家・議員が政党支部を含む多数の政治団体を乱立させて収支を見えにくくする手法等を規制する。同時に、政治資金だけにとどまらない倫理規定や党運営指針を整備するなど、政党助成金を支出する国民からの監視に耐えうる、公党にふさわしい政党ガバナンスを確立する。

【選挙制度改革】

  • 1

    議員定数の大幅な削減

    国会議員たちが自分の身分・待遇に固執する姿勢に国民は辟易とし、多すぎる国会議員の数が過当競争や派閥抗争を招き、「政治とカネ」問題の一因となっている。また2012年には当時の与野党で議員定数の大幅な削減が約束されたにもかかわらず、いまだにその約束は履行されていない。議員定数は3割を目処に大幅な削減を断行する。

  • 2

    二大政党制を志向した制度の見直し

    平成元年に策定された自民党の政治改革大綱には「一方で、この制度(※中選挙区制)における与野党の勢力も永年固定化し、政権交代の可能性を見出しにくくしている。こうした政治における緊張感の喪失は、党内においては派閥の公然化と派閥資金の肥大化をさそい、議会においては政策論議の不在と運営の硬直化をまねくなど、国民の視点でなされるべき政党政治をほんらいの姿から遠ざけている。」との記載がある。的を射た指摘であり、そして何より、この文章における「この制度」を小選挙区比例代表並立制に読み替えても、状況はまったくこの当時から変わっていない。政治的妥協によって比例代表の議席を多数設定した結果、我が国は結局政権交代が可能な二大政党制にいたらず、多党制の範疇にとどまっている。

    そこで、再び政権交代を可能とする二大政党制を明確に目指すという理念のもと、まずは次期衆議院選挙に向けて衆院の比例代表議席を2割削減し、将来的には地域格差を是正しながら全体で3割の削減を実現する。また、現状は所属議員5名、比例代表の得票率2%以上となっている政党要件についても見直しを行う。

  • 3

    参議院の抜本改革

    衆議院で定数削減・選挙制度の改革が実現したとしても、現行の参議院がそのままであれば、強すぎる権能によって「ねじれ」が生じて国会運営に支障をきたし、二大政党制が機能しない。衆議院のカーボンコピーとも揶揄される現在の参議院は、衆議院と同じ構成であれば存在意義が乏しく、構成が異なれば物事を決める障害になっている。参議院はその権能を大幅に見直し、広域自治体の首長との兼任を認めるなど、院としての独自性を発揮できる抜本改革を行う。将来的には一院制も検討する。

  • 4

    選挙規制の見直しによる候補者負担の軽減

    「政治にはカネがかかる」という常套句の意味するところは、多くの場合は選挙に関連する費用である。選挙戦中に支出できる金額には制限があるものの、事実上の事前運動である政治活動(チラシ配布やポスター掲示等)は量の競い合いであり、資金力の多い政治家が有利になる構造が温存されている。

    選挙に関連するこうした費用は、選挙戦のみならず政治活動においても総量規制を設けるなど、公費負担を原則とした適正化を検討する。併せて、メールによる選挙運動の禁止など、合理性の乏しい時代遅れの規制は抜本的な見直しを行う。

【国会改革】

  • 1

    与党による事前審査制度の廃止

    国会の議論を停滞させ、生産性を低下させている主たる要因は、与党による事前審査制度である。立法府に法案が提出される前に、政府と与党の間で内容の調整が完了していれば、国会では必然的に修正が生じる余地が極端に小さくなり、野党は戦術として廃案に追い込む日程闘争を選択するという負の連鎖が生じている。この事前審査制度も、政権交代の可能性が乏しいことが前提とされており、健全な野党を育てることを阻害している。

    立法府軽視でもある事前審査制度は廃止をし、政府と与党も国会審議の中で修正に力を尽くす本来の形に戻し、国会での議論を活性化し、国民に開かれた場で意思決定を行う。

  • 2

    総理や外務大臣等の出席義務の緩和

    日本の首相や外相は国会の運営に縛られ、慣習によって予算委員会等への出席が事実上義務付けられる場面が多々あり、国際情勢の不確実性が増す中でも必要な外交活動に割く時間が制限されている。これは、海外の首脳との直接対話や多国間交渉への参加を妨げ、日本の外交政策の効率と影響力に悪影響を及ぼす可能性がある。

    そこで、首相及び国務大臣、とりわけ外相については、国際舞台での日本の影響力を最大限に発揮するために国会日程に囚われず活動できる体制を構築する。具体的には、答弁を関係閣僚や副大臣に任せられる場面を増やして効率化するなど、慣習に縛られた国会の運営を改善し、議論や決定が首相の不在中でもスムーズに行われるようにする。

  • 3

    オンライン化やデジタル化(デジタル機器持ち込み)の推進

    国会の運営において現代のテクノロジーを十分に活用していないことは、議論の効率性とアクセシビリティの低下をもたらしている。国会議員が現地にいなくても議論に参加できる環境を整えること、またデジタル機器の利用を通じて情報の共有とアクセスを容易にすることは、国会の機能を向上させる重要なステップである。しかしながら、国会におけるデジタル改革は牛歩の歩みであり、「平成のうちに」衆議院改革実現会議によって実現された項目も、ペーパレス化などごくわずかに留まった。

    そこで改めて、国会における大胆なオンライン化・デジタル化を断行する。具体的には、オンライン会議システムを導入し、遠隔地から国会議員や参考人の議論への参加機会を確保する。また、国会議員がタブレットやスマートフォンなどのデジタル機器を議会内で自由に使用できるようにし、即時の情報共有、資料の閲覧、迅速な意思決定を可能とする。

  • 4

    審議日程の早期確定(日程闘争の根絶)、早期の質問通告の義務化

    野党が審議拒否などの手段を駆使し、日程不足・時間切れで法案を廃案に追い込む日程闘争が常態化している。前述の事前審査制度が廃止され、法案修正の余地が大きくなればこうした戦術の必要性も薄れると考えられるが、国会日程は地方議会同様、事前に大まかに定めるなどの運営を行う。また、質問通告については厳格な期限を設け、通告の早期化を義務化し、答弁者・答弁作成者の負担を軽減する。

  • 5

    人数に応じた会派権能等の見直し

    二大政党制を志向するのであれば、国会運営でもそれに応じた対応をすることが望ましい。質疑時間の割り振りに加え、質問主意書や議員立法提出の人数条件等については、前例や慣習にとらわれず大幅な見直しを行う。

第三章 政治改革の推進方法と結語

【政治改革実行本部の設置】

党内に政治改革実行本部を設置し、全党的な取り組みによって改革の実現をはかる。実行本部には国会議員のみならず、地方議員から幅広くメンバーを任命し、国政と地方自治は対等という理念のもと、地方からもボトムアップでの改革実現を後押しする。他党の改革派議員たちとの連携も、与野党を問わず積極的に活用する。

【結語】

いま国民が求めているのは、有言実行の政治である。平成元年の自民党による「政治改革大綱」の内容は、いまも色褪せない建設的かつ合理的な提言が数多く含まれている。にもかかわらず、その多くは実現を見ることなく現在に至り、言うは勇ましく最後は骨抜きという、与党政治家たちの振る舞いは唾棄すべきものである。一方の野党も、責任を持たない立場から高らかに理想論を掲げつつ、自分たちが率先垂範してその姿を見せることはついぞ行わなかった。その象徴が平成24年に当時の与野党で合意したはずの議員定数の削減の結末である。当時の民主党・自民党が議員定数の大幅削減で合意しながら、自分たちの身分にかかわる改革は一向に進めようとしない。私たち日本維新の会は、こうした自分たちの身分・待遇に拘泥する政治家と古い政治に対する怒りから生まれた抜本改革政党である。われわれは、提言したからには自分たちの身分・待遇にかかわることは率先して実行する。企業団体献金は受け取らない内規を遵守し、旧文書通信交通滞在費もその使途を率先して公開してきた。地方政府の政権与党として議会と行政をお預かりしている大阪では、過去に類を見ないほどの議員定数削減を断行している。

国民は今こそ、本気の改革、本当の実現を期待している。人口減少と経済低迷に苦しむ我が国が、政治への信頼を取り戻して再興への道筋をつける、その最後の機会こそがこの政治改革であるとの覚悟を持ち、日本維新の会は不退転の決意で政治改革と政界の浄化に臨むことをここに約する。

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