参議院選挙2022

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日本維新の会 予算案合意に関する QA 集

 

1. 合意の総論に関して

Q1. 今般の与党との合意はどのような意義がありますか?

A: 今般の合意は、現役世代・子育て世代の支援という日本維新の会の基本理念を実現する大きな一歩です。①教育無償化と、②社会保険料負担の軽減という二本柱、③働き控えの解消により、「子どもを産み育てやすい社会」と「働く世代が報われる社会」の実現に向けた具体的な道筋をつけることができました。

政党間協議で具体的成果を出すことで、「責任ある野党」としての立場を明確にし、国民生活の向上に直結する政策実現を優先する姿勢を示しました。特に、少子化対策と現役世代の支援という日本の将来を左右する重要課題に対して、政治が具体的な答えを出したことの意義は大きいと考えています。

Q2. 予算案に賛成したことで、維新は野党ではなくなったのですか?

A: 日本維新の会は、「是々非々」の立場を貫く責任ある改革保守政党です。単に反対するだけの野党ではなく、国民生活の向上につながる政策には与党・野党の枠を超えて協力する姿勢を常に持っています。

今般の予算案合意は、私たちの政策理念の一部を実現するための建設的な合意であり、与党化したわけではなく、また連立入りを前提としたものでも断じてありません。むしろ、政権与党の政策に維新の主張を反映させ、現役世代と子育て世代にとって実効性のある政策を前進させることができました。引き続き、行財政改革などの面では厳しく政権をチェックしていく立場に変わりはありません。

Q3. 合意文書に「3党の協議体を設置する」とありますが、これはどのような役割を持ちますか?

A: 3党の協議体は、合意内容を確実に実行に移すための重要な監視・推進機関です。現役世代の保険料負担を含む国民負担の軽減を実現するために、「主要な政策決定が可能なレベルの代表者」で構成される自公維の協議体を設置することで、単なる努力目標ではなく、実効性のある政策実現を担保する仕組みを構築しました。

この協議体では、OTC類似薬の保険給付のあり方の見直しや、現役世代に負担が偏りがちな構造の見直しによる応能負担の徹底、医療DXを通じた効率的で質の高い医療の実現、医療介護産業の成長産業化など、具体的な改革項目について集中的に協議し、令和7年末までの予算編成過程(診療報酬改定を含む)で十分な検討を行い、令和8年度からの実行につなげます。日本維新の会としては、この協議体を通じて、年間で最低4兆円の国民医療費削減と現役世代の社会保険料年6万円引き下げの実現に向けて強く働きかけていきます。

命に関わる医療の核を守りつつ、社会保険料を下げて現役世代の生活も守るべく、社会保障改革を推進します。

Q4. 「予算案への賛成と引き換えに、より具体的な約束を取り付けるべきだった」という声もありますが、今般の合意は十分な成果と言えるのですか?

A: 今般の合意は、維新が結党以来14年間にわたって訴え続けてきた教育無償化と、現役世代の社会保険料負担軽減という二大政策について、具体的な実現の道筋をつけた歴史的成果です。
特に教育無償化に関しては、2011年に大阪で先行的に実施した私立高校授業料の実質無償化が、今般の合意に基づき、全国レベルの政策として実現します。令和7年度には、現在所得制限が付されている11.88万円の就学支援金の対象が全世帯に広げられ、令和8年度からは私立高校への加算額が45.7万円に引き上げられます。さらに、低所得者には高校生等奨学給付金15.2万円も加算されるため、最大で約61万円の支援が受けられます。

社会保障改革についても、「国民医療費総額年間最低4兆円の削減と一人当たり年間6万円の引き下げ」という維新の主張がアジェンダとして明確に位置づけられ、主要な政策決定が可能なレベルの3党の協議体の設置が決まりました。この協議体では、OTC類似薬の保険給付の在り方の見直し、応能負担の徹底、医療DX、医療介護産業の成長産業化などを通じた効率的で質の高い医療の実現など、社会保障改革のための具体的な柱に基づいた議論が進められます。命に関わる医療の核を守りつつ、社会保険料を下げて現役世代の生活も守るべく、社会保障改革を推進します。

政策協議によって具体的成果を勝ち取ったことは、責任ある改革政党としての日本維新の会の新たな一歩であり、この成果を踏まえて今後も社会保障改革の実現に向けて粘り強く取り組んでいきます。

Q5. 今般の合意によって日本維新の会はどのように変わったと考えますか?

A: 今般の合意によって、日本維新の会は「責任ある改革保守政党」としての立場を明確に示すことができました。単に与党に反対するだけでなく、国民生活の向上に直結する政策について建設的な協議を行い、具体的な成果を勝ち取ることができたのです。

我が国内政の最大の課題である社会保障改革という新たな挑戦についても、政治アジェンダとして明確に位置づけることができました。

単純な与野党対立の構図を打破し、政策協議を通じ実質的な成果を上げる新しい政治のあり方を示したことは、日本政治における日本維新の会の独自の立ち位置を鮮明にするものです。

今後も行財政改革の推進者として、政府・与党の無駄遣いに厳しい監視の目を光らせながら、同時に、国民生活を向上させる政策については「政策本位」の観点から積極的に協力し、実現を図っていく「是々非々」の姿勢を貫いていきます。

Q6. 本合意文書は来年度に決裂などで反故にされる可能性はないのですか?

A: 今般の合意文書は、3党の責任ある立場の代表者による公式な合意であり、単なる一時的な政治的取引ではありません。合意文書V項には「骨太方針2025に記載し、令和8年度以降の予算に反映させる」と明記し、さらに、「合意後も引き続き、自由民主党、公明党、日本維新の会の3党の枠組みで、合意事項の実現に責任と誠意をもって取り組む」と約束されています。

通称「骨太方針」とは、政府の「経済財政運営と改革の基本方針のことです。ここに記載され、閣議決定されることで政策の継続性が担保されます。また、現在の国会情勢において、自民・公明両党にとっても日本維新の会との協力関係は重要性を増しており、合意を反故にするインセンティブは低いと考えられます。

日本維新の会としては、この合意を単なる約束文書にとどめず、3党の協議体での活動や国会での監視活動を通じて、着実な実行に向けて取り組んでいきます。

2. 教育無償化に関して

Q7. 高校無償化について、具体的にはどのような内容になりますか?

A: 今般の合意では、以下のような具体的な高校無償化策を獲得しました。

  • 令和8年度から
    • 収入要件を撤廃し、全ての高校生を対象に
    • 私立高校への加算額を45.7万円に引き上げ
    • 低中所得層への奨学給付金の拡充
    • 公立高校等への支援拡充
  • 先行措置(令和7年度分)
    • 全世帯を対象とする支援金(11.88万円)の収入要件を実質的に撤廃
    • 低中所得層への奨学給付金と公立専門高校(水産業・農業・工業等)の施設整備支援の拡充
このように、「経済的事情による教育格差を是正」するという維新の基本理念に基づいた施策が実現します。これにより、家庭の経済状況にかかわらず、すべての子どもが希望する高校教育を受けることができるようになります。
Q8. 給食無償化はどのように実現されますか?

A: 給食無償化については、まず小学校を対象に令和8年度から実現し、その後、中学校への拡大も「できる限り速やかに実現する」ことが合意されました。
給食は単なる食事ではなく、食育という教育活動の一環です。また、子育て世帯の経済的負担軽減にも直結する政策です。維新が大阪で先行して実施してきた政策が、全国レベルで実現することになりました。

Q9. 幼児教育・保育の支援はどうなりますか?

A: 0〜2歳を含む幼児教育・保育の支援について、令和8年度からの実施が確約されました。現在は3〜5歳児については既に無償化されていますが、0〜2歳児については住民税非課税世帯のみが対象となっています。
今般の合意により、より広範な世帯を対象とした負担軽減・支援拡充が実現します。これは少子化対策としても、子育て世代支援としても、大きな前進と言えます。

Q10. 私立大学も全て無償化ですか?

A: 合意文書には「十分な検討を行い」の表記に留まっていますが、今ある全大学を無償化すべきとは考えていません。「学びを深める場」として入試改革や大学改革を前提に、限られた財源を有効活用でする形で今後協議していきます。

Q11. 「教育無償化はバラマキだ」「増税で国民負担が増えるだけだ」「私立団体との癒着だ」という意見がありますが、維新の教育無償化の基本理念と特徴を教えてください。

A: 日本維新の会が推進する教育無償化は、単なるバラマキや現金給付、特定団体との癒着では決してありません。教育の機会平等を憲法上の権利として位置づけ、教育費負担を「個人の負担」から「国の責務」へと転換する本質的な改革です。
維新の教育無償化には次の3つの特徴があります。

  • 「増税なき無償化」の実現
    大阪では徹底した行財政改革によって財源を捻出し、教育無償化を実現してきました。今般の合意においても、第Ⅳ項の5で「上記の各施策の実現に当たっては、政府全体で徹底した行財政改革を行うことなどにより安定財源を確保する」ことが明記されています。これにより、増税なしでの実施が政府・与党との合意事項として担保されました。単なる維新の主張ではなく、3党合意に基づく実効性ある約束です。
  • 教育の質の向上を伴う改革
    維新の教育無償化は単なる金銭的支援ではなく、教育改革と一体となっています。高校無償化では、就学支援金の個人支給(代理受給の撤廃)と学校/教育関連費用への充当の拡大(クーポン/バウチャー)、単位制の強化、学校間の枠を超えた連携など、学びの質を高める改革を同時に推進します。生徒が自ら学びを選択できる主体性を育み、学校側も質の高いサービス提供に努める仕組みを構築します。
  • 経済格差の固定化を防ぐ平等な機会の提供
    所得制限を設けず、すべての子どもたちに等しく教育の機会を保障します。これにより、家庭の経済状況による教育格差を解消し、子どもたちの将来の可能性を経済的理由で狭めることなく、真の意味での機会平等を実現します。経済格差が世代を超えて固定化される「格差の再生産」を防ぐ効果があります。
    日本はOECD加盟国の中でも、GDPに占める教育支出の割合(3.5%)が最下位水準であり、OECD平均(4.9%)との差は約1.4%、予算額で2〜3兆円に相当します。フランスやドイツなど多くの先進国では高等教育までの教育費用は原則として無償とされており、日本における教育の無償化は決して突飛な提案ではなく、むしろ国際標準に追いつくための必要な改革です。
    教育無償化による投資効果は、少子化対策、現役世代の可処分所得増加、経済活性化、そして何よりも子どもたち一人ひとりの可能性を最大限に引き出すことによる人的資本の向上など、多方面に及びます。これは日本の未来への最も重要な投資なのです。
Q12. 教育無償化のために増税はしないのですか?財源はどのように確保するのですか?

A: 教育無償化のために増税は行いません。今般の3党合意においても、「政府全体で徹底した行財政改革を行うことなどにより安定財源を確保する」ことが明記されました。これは政府・与党との共通認識として確立されています。
財源確保については、維新がこれまで一貫して主張してきた「身を切る改革」の理念に基づき、行財政改革による無駄の削減を徹底します。大阪府・市で実践してきたように、既得権益に切り込み、真に必要な教育分野への投資を実現するための財源を捻出します。
また、教育無償化は単なる支出増ではなく、未来への投資です。教育水準の向上による経済成長や、子育て世帯の負担軽減による消費拡大などの経済効果も期待できます。増税に頼らず、改革と成長の好循環によって持続可能な教育無償化を実現していきます。

Q13. 「公立が荒廃する」「公立高校の統廃合を進める施策で、地方の子どもの教育機会が無くなる」と言う意見がありますが、どのように考えますか?

A: まったくそのようなことはありません。我々は、地方の子どもたちにも多様で質の高い教育機会を提供するというビジョンをもって協議しています。
今般文書に記載はありませんが、都道府県による高校設置義務の付与と、公私含めた学校配置計画の策定も提案しており、都市部だけでなく、日本中どんな地域でも多様で質の高い教育機会が確保されることを大前提に考え、制度設計を提案しています。
また、現在高いハードルとなっている学校設置基準の見直し等、規制緩和となる提案もしていきます。小規模でも様々な形の高校が増える制度設計で、地方においても多様で質の高い教育の機会を増やしていきます。

Q14. 私立の便乗した授業料値上げが懸念されます。大阪のような値上げ防止策(キャップ制)はありますか?

A: あります。今般はキャップ制(授業料の上限設定)を取り入れていませんが、我々は様々な提案を行っています。
学校側が安易な値上げに至らないよう、学校側の情報開示の徹底や値上げ水準の規制、自治体による事前承認(就学支援金支給の条件とする)といったチェック機能を提案しています。また、就学支援金を授業料だけではなく、施設整備費や入学金など就学に要する費用へも充当できるように適用拡大をすることで、不要な授業料値上げをしないインセンティブを設けることも提案しています。便乗値上げを防ぐ具体策を提案し、引き続き与党と協議していきます。

3. 社会保険料引き下げに関して

Q15. 社会保険料負担軽減の目標について、政府与党の1.0兆円と維新の4兆円の差が大きいですが、実際に実現できるのですか?

A: 当該差は、与党と日本維新の会の、社会保障改革に対する積極度の違いによるものだと認識しています。日本維新の会は、政府与党が考えるものより広い範囲に対して改革が可能であると考え、提案しています。いずれにしても、現役世代の社会保険料負担を確実に引き下げるという方向性で合意ができたことは重要です。これにより、所得税の減税だけでなく、より負担の大きい社会保険料の負担軽減という視点で、現役世代の手取り増加を実現する道筋ができました。命に関わる医療の核を守りつつ、社会保険料を下げて現役世代の生活も守るべく、社会保障改革を推進します。

政府与党が掲げる1.0兆円の社会保険料負担軽減は、我々から見れば既存の制度や枠組みを前提とした、経路依存的な金額感に過ぎません。日本維新の会は、次世代のための政党として、これまでの政府の経路依存的な施策に捉われない視点で、新たな政策の地平を切り開くことを目指しています。

具体的な数値目標が合意文書に盛り込むことができたことは、大きな一歩です。今般設置される、主要な政策決定が可能なレベルの代表者によって構成される3党の協議体において、社会保障改革の具体策の論点を精緻化していきます。

Q16. 社会保険料引き下げは「念頭に置く」との表現ですが、これでは実現が難しいのではないですか?

A: 今回の合意文書では「念頭に置く」という表現が使われていますが、これは維新の「4兆円削減・6万円引き下げ」という具体的目標を協議の方向性を示すものとして合意されたことを意味します。
今般の合意では、単に「念頭に置く」だけでなく、①3党の協議体の設置、②令和7年末までの予算編成過程(診療報酬改定を含む)で具体策検討、③令和8年度からの実行、という実現に向けたプロセスと期限が明確化されています。この合意の真の強みは、単に目標を掲げただけではなく、その実現に向けた具体的な道筋と期限が明確化されている点にあります。
日本維新の会は、今般の3党の合意を出発点として、協議体において改革の具体策を詰め、国民医療費の総額を年間で最低4兆円削減することによって、現役世代一人当たりの社会保険料負担を年間6万円引き下げるという目標に向けて、全力で社会保障改革に取り組みます。また、国会における予算及び法案審議の過程で、政府答弁を通じた確認を行い、合意の履行を強く求めていきます。

Q17. OTC類似薬の見直しなど一部施策は示されていますが、4兆円削減を実現する具体的な施策の全体像が見えません。もっと詳細なメニューはありますか?

A: 日本維新の会が2月20日に公表した「社会保険料を下げる改革案(たたき台)」では、医療介護産業の生産性革命及び持続可能な水準の応能負担という改革の哲学(方向性)に則り、先行実施策として、以下を提案しています。

  • (1) OTC医薬品の活用によるセルフメディケーションの促進
  • (2) 医療費窓口負担及び高額療養費負担限度額の所得区分判定の見直し(金融所得の反映)
  • (3) 電子カルテとパーソナル・ヘルス・レコードの完全普及

日本維新の会のこれらの問題意識を踏まえ、3党の合意書では、以下の点を含む事項を実行に移すこととされました。

  • OTC類似薬の保険給付のあり方の見直し
  • 現役世代に負担が偏りがちな構造の見直しによる応能負担の徹底
  • 医療DXを通じた効率的で質の高い医療の実現
  • 医療介護産業の成長産業化

今般の3党の合意で設置される3党の協議体において、上記の事項に関する詳細な制度設計を行い、令和7年末までの予算編成過程(診療報酬改定を含む)で十分な検討を行い、令和8年度から実行に移す計画です。命に関わる医療の核を守りつつ、社会保険料を下げて現役世代の生活も守るべく、社会保障改革を推進します。

4. 働き控えの解消について

Q18. 「年収の壁」による働き控えを解消するために、今般の合意でどのような対応が取られるのですか?

A: 今般の合意では、手取りの減による働き控えの原因となっている「年収130万円の壁」(社会保険による壁)の解消に向けて、被用者保険への移行を促し、賃上げや就業時間の延長などによる労働者の収入増を支援する措置を令和7年度中から実施することが明記されました。

特に、「年収106万円の壁」(税による壁)への対応としてすでに実施されているキャリアアップ助成金の拡充が決定し、中小・小規模事業者への支援強化や、使い勝手のさらなる向上が図られます。これにより、企業が社会保険適用を拡大しやすくなることで、働き手が「壁」を意識せずに就業できる環境を整備する狙いがあります。

このように、今般の3党合意により、税による壁より大きな壁として立ちはだかっていた「年収130万円の壁」(社会保険による壁)が解消に向かうこととなったことは、大きな成果です。

Q19. そもそも「年収の壁」はなぜ問題なのですか?

A: 「年収の壁」とは、一定の年収を超えると税や社会保険料の負担が発生し、手取り収入が逆に減少する、いわゆる“逆転現象”が起こる仕組みのことを指します。このため、パートやアルバイトで働く人が「壁」を超えないように労働時間を制限し、収入を抑える行動を取ることが多く、結果として労働市場の歪みを引き起こすとともに、わが国の成長の妨げになっています。

特に「年収130万円の壁」は、単なる手取り減少ではなく「社会保険料の加入義務が生じ、これまでの扶養が外れる」という制度的な大きな変化を伴うため、“崖”のような影響を持ち、「年収103万円の壁」以上に問題視されています。これにより、特に扶養内で働くことを前提にしている世帯では、働き方の選択が制限され、経済的な機会損失につながっています。
今般の3党合意では、この問題を是正するため、企業側の負担を軽減しつつ、「壁を意識せず働ける環境」を整えることを目的とした政策が盛り込まれました。

Q20. 今般の「年収130万円の壁」対策は、維新が求めていたものと一致していますか?

A: 維新はもともと、「年収の壁」自体をなくすため、税と社会保険料を一体で徴収・管理する「デジタル歳入給付庁」を設置し、給付付き税額控除を実現するなど、社会保障制度全体を抜本的に見直すべきだと主張してきました。今般の合意はその第一歩として、「年収130万円の壁」に関する短期的な対応を行うものです。その上で、長期的には第三号被保険者制度のあり方を含め、さらに踏み込んだ制度改革に向けた議論が必要です。日本維新の会としては、今後の3党の協議体で「壁を意識せず働ける環境」づくりをさらに進めるべく、議論をリードし、年収による就労抑制を解消することで、国民の手取りを増やすための政策を推進していきます。

5. 合意の実効性について

Q21. 合意内容は「検討する」「実現する」といった表現ですが、具体的な実行の担保はあるのですか?

A: 今般の合意では、単なる検討にとどまらない実行担保として、次の点が明記されています。

  • 令和8年度という期限を明示した上で、「実現する」「実施する」「実行に移す」など、言い切りの形で明記したことで、実施時期を明確化
  • 「骨太方針2025」への記載を約束し、これを閣議決定させることで、令和8年度以降の予算への反映を担保
  • 社会保障改革による国民負担の軽減を実現するため、主要な政策決定が可能なレベルの代表者によって構成された、3党による協議体を設置
  • 「合意後も引き続き、自由民主党、公明党、日本維新の会の3党の枠組みで、合意事項の実現に責任と誠意をもって取り組む」ことの明記

特に、「骨太方針2025」への記載と閣議決定は、政府の経済財政運営の基本方針として、確実な実行を担保するものです。また、社会保障改革に関する3党の協議体も、単なる検討の場ではなく、「主要な政策決定が可能なレベルの代表者」で構成されることで、実効性を高めています。

Q22. この合意によって、現役世代の手取りは本当に増えるのですか?

A: はい、大きく増えることが期待できます。例えば年収350万円の単身世帯の場合、所得税は年間約7万円ですが、社会保険料は年間約50万円にも上ります。そのため、社会保険料の負担軽減は、所得税減税よりも現役世代の手取り増加に大きな効果をもたらします。

今般の合意により、令和8年度から高校無償化、給食無償化、幼児教育・保育の支援拡充が実現するとともに、社会保険料負担の軽減も同時に進められます。さらに、年収130万円の壁による働き控え解消策も実施されます。

こうした複合的な政策により、現役世代・子育て世代の手取り(可処分所得)が増加し、経済の活性化にもつながります。日本維新の会は、これらの政策が確実に実行され、国民の皆様の生活向上につながるよう、引き続き全力で取り組んでいきます。

Q23. 合意内容がしっかり実行されるよう、今後どのように監視・推進していくのですか?

A: 合意内容の確実な実行のために、以下の取り組みを進めていきます。

  • 3党の協議体における強力な働きかけ
    • 主要な政策決定が可能なレベルの代表者が参加する協議体で、社会保障改革を推進し、国民医療費の総額を年間で最低4兆円削減することにより、社会保険料負担を現役世代一人あたり6万円引き下げることを強力に主張していきます。
  • 予算審議過程での確認
    • 国会審議を通じて、政府答弁による合意内容の確認を徹底的に行います。
    • 「骨太方針2025」への明確な記載を強く求めていきます。
  • 社会保険料引き下げに向けた具体策の詰め
    • 日本維新の会の「社会保険料を下げる改革案(たたき台)」及び3党合意書に基づき、具体的な改革メニューの実現を粘り強く主張します。
    • OTC類似薬の保険給付のあり方の見直し、現役世代に負担が偏りがちな構造の見直しによる応能負担の徹底、医療DXを通じた効率的で質の高い医療の実現、医療介護産業の成長産業化などについて実効性のある施策を提案していきます。
  • 国民への説明責任
    • 合意内容の実行状況について、国民の皆様に定期的に情報発信し、理解と支持を広げていきます。

合意文章に「合意後も引き続き、自由民主党、公明党、日本維新の会の3党の枠組みで、合意事項の実現に責任と誠意をもって取り組む」とあるとおり、国民の皆様の負託に応え、現役世代・子育て世代の支援という重要課題の実現に向けて、維新は引き続き責任ある監視役として全力で取り組んでいきます。

Q24. 令和8年度予算からの実施ということは予算に来年も賛成するということでしょうか?仮に来年度反対した場合、合意は反故にされないのですか?

A: 合意文書のⅤ項には「令和7年度予算及び令和7年度税制改正法について、所要の修正を行った上で、年度内の早期に成立させる」との記載があるに留まっており、令和8年度予算への賛否については本合意とは独立して、その予算案の全体的な内容を見て判断することになります。今般の合意は、特定の政策項目についての合意であり、自動的に来年度の予算案全体に賛成することを意味するものではありません。

ただし、合意した教育無償化などの政策については、「骨太方針2025」に記載され、令和8年度以降の予算に反映させることが約束されています。合意文書のⅤ項では「合意後も引き続き、自由民主党、公明党、日本維新の会の3党の枠組みで、合意事項の実現に責任と誠意をもって取り組む」と明記されており、予算案全体への賛否にかかわらず、この合意事項は尊重されるべきものです。

合意内容の実現を確実にするため、政府答弁による確認も行われることになっており、「骨太方針2025」への記載によって政策としての継続性が担保されています。維新は責任を持って、合意事項の着実な実行を監視し、推進する役割を果たしていきます。

6. 今後の展望

Q25. 日本維新の会は今後、政府・与党とどのような関係を構築していきますか?

A: 日本維新の会は、「是々非々」の立場を堅持します。政府の提案する政策が国民生活の向上に資すると判断すれば与党と協力し、一方で行財政改革や国家予算の無駄遣い削減など進めるべき政策に政府が及び腰である場合や、政府の政策が国民生活を悪化させると判断した場合については厳しく監視・批判する立場を取ります。

今般設置される3党協議体は、現役世代の保険料負担を含む国民負担を軽減するとした合意事項の実行に向けた議論の場であるとともに、政府・与党に対して維新の政策理念を実現していくための重要な手段となります。この協議体を通じて、現役世代の社会保険料負担の軽減を強力に推進していきます。

ただし、これは与党化を意味するものではなく、あくまで「国民のための政策実現」という観点から、政策本位の「是々非々」の立場で、建設的な協力関係を構築していくものです。

Q26. 今般の合意で実現できなかった政策課題は今後どうしていきますか?

A: 今般の合意では、教育無償化と社会保険料負担の軽減という二大政策について、実現に向けた道筋をつけることができました。しかし、改革を前提とした大学などの高等教育無償化や、より抜本的な行財政改革、副首都や道州制など「多極分散型国家」を目指した統治機構改革、憲法改正等の重要政策課題については、今後も引き続き取り組んでいきます。

特に、高等教育の支援については、合意文書にも「更なる負担軽減・支援の拡充について、十分な検討を行い、成案を得ていく」と記載されており、この検討過程で日本維新の会の政策理念を反映させていきます。

日本維新の会は、政権交代可能な「責任ある改革保守政党」として、引き続き現実的で効果的な政策提案を行い、国民の皆様の期待に応えていきます。

Q27. ガソリン減税や「103万円の壁」については、維新は反対なのでしょうか?国民民主党の案を潰したのでしょうか?

A: 日本維新の会は、「年収103万円の壁」の引き上げなど、国民の負担軽減につながる政策に基本的に賛同する立場です。これらの政策を「潰した」ということはありません。むしろ、日本維新の会から国民民主党に対し、「年収103万円の壁」に関する政策上の連携について訴えてきました。

今般の予算協議では、現役世代・子育て世代の支援という観点から、特に「教育無償化」と「社会保険料負担の軽減」という二本柱に焦点を当て、具体的な前進を勝ち取りました。社会保険料負担の軽減は、所得税減税よりも負担額が大きい(年収350万円の単身世帯で約50万円)分野であり、現役世代の手取り増にとって特に重要です。

各政党がそれぞれ重視する政策を提案・推進することは、民主主義の健全な姿です。日本維新の会は、「是々非々」の立場で、他党の合理的な提案にも協力する姿勢を持っています。国民民主党に対しても、昨年来、日本維新の会から政策連携を促してきました。今後とも、国民生活の向上につながる政策については、党派を超えて協力していく考えです。

Q28. 維新は与党の所得税法改正案(「年収103万円の壁」改正案)に賛成する方針ですが、党内の反対意見もあります。そもそもどのような理由で賛成するのですか?

A: 日本維新の会が与党の所得税法改正案に賛成するのは、純粋に少しでも減税すべきだという政策的な判断と、財源や地方への影響といった現実的な判断に基づくものです。確かに与党案は複雑な制度設計となっており、維新が理想とする「簡素・中立・活力」の税制とは異なる面があります。しかし以下の理由から、現状では賛成することが国民生活の向上につながると判断しました。
第一に、与党案でも非課税枠が最大160万円まで引き上げられることになり、多くの国民、特に低所得者層の負担軽減につながります。完全な引き上げではなくとも、一定の前進と評価できます。国民の手取り増加という観点では、いま実現可能な軽減策を支持することが「責任ある政党」としての役割です。
第二に、現在の国会情勢を冷静に分析すると、与党案への反対が国民民主党案の成立につながるわけではなく、むしろ税制改正が全く進まないリスクがあります。維新は「対案を示す野党」として、理想を掲げつつも政策実現を一歩でも前に進めるための現実的な選択をする政党です。国民の利益に資する部分に着目し、現時点で実現可能な負担軽減を支持することが、実質的な政策実現というわれわれの強みを示すことになります。
日本維新の会は引き続き、より簡素で公平な税制の実現に向けて取り組んでまいります。今回は現実的な判断として与党案に賛成する一方、将来的には抜本的な税制改革を目指すという姿勢に変わりはありません。維新が目指す「デジタル歳入給付庁」の設置や給付付き税額控除の導入など、より本質的な改革に向けた提言も続けてまいります。

Q29. 日本維新の会は、立憲民主党と国民民主党が提案する来年度(2025年度)からのガソリン暫定税率廃止には賛成できないという立場ですが、その理由は何ですか?

A: 日本維新の会は、再来年度(2026年度)からのガソリン暫定税率廃止については賛成し、それを内容とする法案提出も行いました。一方で、立憲民主党と国民民主党が提案する来年度(2025年度)からの即時廃止には現実的な観点から慎重な立場をとっています。その理由は主に以下の点です。
第一に、ガソリン暫定税率廃止は年間約2兆円規模の大きな政策変更であり、実施に向けた十分な制度設計や準備期間の確保が必要です。国民民主党は激変緩和措置の補助金約1兆円を財源として提案していますが、残りの対応策や実施体制の整備に関する具体的な計画が十分に示されていない状況です。
第二に、国民負担軽減策を確実に実現するためには、与党を含めた超党派での合意形成が現実的には不可欠です。
日本維新の会は「是々非々」の立場から、実現可能性を重視しており、与党を巻き込んだ5党協議体での議論を通じて、より確実な形での暫定税率廃止を目指すべきと考えています。
第三に、ガソリン暫定税率の廃止は、道路整備財源としての役割も担っていた税制であるため、道路インフラの維持管理に影響を与えない形での慎重な移行が必要です。特に地方自治体への影響を考慮した制度設計が求められます。
日本維新の会は、国民負担軽減という目標は完全に共有しつつも、その実現を確実なものとするためには、政府与党も含めた形で制度設計を行うことが不可欠と考えています。単に法案を提出するだけでなく、実現可能性を高めるための現実的なプロセスを重視する立場から、5党による協議体での議論を提案しています。

 
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