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維新・和歌山八策 ~統治機構の改革から自立した和歌山を創造し未来を切り開く~
- 2023.03.19
1.行財政改革
~徹底した行財政改革を遂行し和歌山の自立を促進する~
・統治機構改革により中央集権型の国家から地方分権型の国家へ
・地方分権・道州制等を想定しつつ地域と個人が自立出来る社会システムを確立
・地方自らが地域のポテンシャルを最大に活かした個性の光る地方自治を目指す
・住民への最大サービス実現のためのスリムな自治体を創造
・地方の個性をなくす画一的な国主導の公共事業の見直し
・未来の子供たちのため財政規律を徹底して守り、地域財政の健全化を目指す
・大阪方式の行財政改革をベースとして、政治・行政コストを徹底的に削減
・公務員の馴れ合いや様々な慣習を排除して、頑張る人を評価し政策エリートの育成等を目指す
・痛みを伴う改革には、まず政治家自らが身を切りつつ公務員の人件費や不必要な外郭団体等については、聖域の無い徹底した見直しを進める
2.防災・災害対策
~自助、共助を全面的にバックアップし安心・安全を守り抜く防災害対策~
・災害復旧時に投入される公的資金を、地域自らが自由に決定出来る仕組みの構築
・既存の公共施設を更に活用し大地震・津波の避難場所の確保等に利用促進を図る
・高速道路の高機能化(防潮堤としての利用等)による防災対策の推進と補給路の確保に万全を期す
・都市設計として、コンパクトシティ等を視野に入れた居住区域の再配置を検討
・災害時には地域の助け合い(共助)が最も重要となり、その為の居住地域における住民間のコミュニケーションを高めていく取組を徹底して進める
・地域自治会と地域でソーシャルサービスを行っているNPO団体等との連携により、日頃から住民の顔が見える地域コミュニケーションの構築を促進する
・災害時には情報の伝達が困難となる。そこでSNSを活用することにより、安否情報等の伝達が行なえるよう活用方法を徹底して検討していく
3.教育・子育て
~徹底した教育の重視!いじめ撲滅への徹底した取組~
・和歌山においては全国に比べて子供の読解力や語彙力が非常に低く、その原因と見られる読書量の不足を改善するために、教育現場での読書の推奨をしっかりと進める
・日本文化を尊重し美しい日本語を継承できるように力を入れ、国語力=人間力であるとの考えの下、読み書きを徹底して重視して行っていく
・やらされる受け身の勉強から、自らが明確な目的を持って能動的にする勉強へ転換
・維新の会は弱者を徹底的に守る! いじめ撲滅への徹底した取組
・インターネットの情報ネットワークを正しく健全に利用できる能力であるネットリテラシーの教育を徹底的に施し、ネット社会にしっかりと適合出来る人材を育て、合わせてネットいじめの撲滅に繋げる
4.雇用
~新産業誘致・創造等から地域の雇用創出~
・観光産業の徹底した振興・魅力あるエンターテイメントを集積させ、集客力のある統合型リゾートを生み出し、特に若年層の雇用創出を実現
・植物工場等新産業の創造から高齢者が働きやすい仕組み、雇用体系を作り上げていく
・これからの社会においてNPOの存在は、ますます重要となってくる。その中で、NPO団体が活発に活動できる地域社会を目指して税制面の優遇等の支援を行い、NPOへの雇用の機会を大幅に増やす
5.農林水産
~これからの時代にマッチした新しい農林水産業の創造と推進~
・農林水産業への就業やライフスタイルとして、スローライフやロハス等の魅力的なコンセプトを全面に押し出し、Iターン・Uターンを積極的に推し進める
・木質バイオマス発電等の振興により、森林の再整備と林業復興を果たす
・新しい木材建築の振興から紀州木材の需要拡大を図る
・和歌山が日本の水産養殖業の核となれるよう可能性を追求し、クロマグロ養殖の量産拠点となる取組を徹底して進め、養殖クロマグロ=和歌山というブランドの確立を目指す
・農林水産物の開発から流通までを、一貫して行う六次産業等の新しい農林水産業ビジネスの振興を徹底的に図る
6.観光
~着地型観光に力を入れて民間主体の観光振興策を推進~
・主要な観光地において観光立県らしい、例えばパークアンドライド方式の導入等の知恵を絞ったアイデアを実現させる
・民間主体で観光事業や観光振興策を推進し、行政は徹底してバックアップ
・地域の特徴を活かした体験型観光の徹底した推進
・SNSを活用し日本国内は元より、海外に目を向けた和歌山の着地型観光のプロモーションを推進
7.道路・交通
~和歌山内における渋滞の緩和と車のスムーズな運行~
・住民の要望にしっかりと応える道路政策への取組として、未改良道路の早期改良化や
慢性的な渋滞の発生場所、通行が困難な個所へのバイパス敷設、拡幅整備主要駅等へのパークアンドライド方式導入による公共交通機関の利用の促進
・和歌山~海南間の渋滞緩和(それを補う他の幹線道路の整備敷設)
・第二阪和道路の早期完成と海南地方への延伸化
・府県道路の整備促進
・京奈和自動車道の早期完成
・国道42号線海南有田バイパスの早期実現
・国道370号線と371号線の整備促進
・国道424号線の整備促進
・粉河加太線と近畿自動車道有田~田辺間の4車線化
・高速道路の紀伊半島一周の早期実現
・サービスエリアや道の駅等の活性化
8.新産業創造
~地域の特徴を活かした観光医療産業の実現~
・従来の観光と予防医療・ヘルスケアを融合させた観光医療産業を創造し、徹底して推進する(医療特区も視野に入れて)
・「茶がゆ」等の和歌山特産の健康志向の強い商品をさらに開発していく
・医療・ヘルスケアという視点から、和歌山の特徴でもある温泉等の自然資産の活用
・和歌山の素晴らしい海を活用して、イルカセラピーやタラソテラピーを実践
・ホテルや旅館への観光医療・ヘルスケアサービスの導入を、全面的にバックアップしていく補助制度等を整備し観光医療産業の振興に繋げる
・公務員制度改革(公務員の削減・給与の削減、見直し・天下り禁止)
《現況の問題点・課題》
日本は議員内閣制をとっているが、実際に政策立案の実務等は、各省庁の官僚が行っている官僚主導の統治となっている。政治家は、選挙で私たちが選ぶことは出来るが官僚は公務員であり、私たちが選ぶことは出来ない。また、公務員には強い身分保障に守られながら、省益の為等内向きな仕事をしているという本質的矛盾がある。
また、地方においても、公務員の身分が手厚く保障されていることによって、公務員の非効率的な就業姿勢等が指摘されることも多く、それらが地方財政を圧迫する一因となっている。実際に、大阪では5年以上も学校を欠勤していながら、給与をずっと貰い続けていたという教師も問題になっていた。このような過度に保障された身分保障は、国にも大阪にもそして和歌山においても、いつまでも放置している余裕はない。
《具体的なアクション》
公務員に関する様々な問題は、個々の役人の資質によるものではなく、公務員の雇用や労働インセンティブの構造が市民の方を向いておらず、内向きになりがちであるということが問題である。これを変える為には、公務員制度の仕組みに根本的に手を入れることが必要であり、それこそが政治家の役割である。
「公務員制度改革」は、統治機構の改革と並ぶ日本維新の会の柱となる政策であり「維新 八策の公務員制度改革 ~官民を超えて活躍できる政策専門家へ~」には、基本方針として"大阪での公務員制度改革を国に広げる" としている。
実際に大阪では、相対評価による職員間競争の導入や公務員の身分保障を外し解雇を含む処分を可能にする、厳格な天下り規制を設ける、病気休暇・休職制度の厳格化、公務員の人件費を削減し不必要な外郭団体を廃止する、職員の政治活動を禁止する、官から民へ、等のまさに官僚と労組の結託による難攻不落の公務員の身分制度に風穴を開けるといった、徹底した行財政改革を断行してきた。
日本維新の会は、このような大阪で実施されてきた改革の成果を日本全国に広げていくことで、公務員制度の抜本的な改革を徹底して推進していく。また、大阪で改革が進んだ要因として、橋下市長と松井知事ともに給料、賞与、退職金を大幅にカットしたことも大きく「痛みを伴う改革に関しては、まず政治家自らが身を切る」という、維新の政治家の覚悟も、また全国に広げていきたい。
・地方分権型のスリムな政府の実現により財政状況を改善
《現況の問題点・課題》
現在、日本は2013年の財務省調べで、国と地方を合わせて1024兆円の借金(国民1人当たり806万円)を抱え、その債務残高は2012年度において主要先進国中、最悪のGDP 比240%に達しており、その財政は危機的な状況にある。
歳出の中身は、社会保障費と公共事業費が主になっているが、今まさに国主導で10年間に200兆円を投下されようとしている、国土強靭化法の自民党による公共事業政策は、景気対策として機能していた時期もある。しかし、インフラ施設が充実してきた90年代後半からのバラマキによる公共事業は、財政赤字を現在に残した元凶でもある。
また、行政機構の中においても無駄は多く、身分や給与が保障され基本的に減給の無い公 務員の効率を無視した就業姿勢や、役所を中心とした大小様々な利権に群がる既得権益も借金を増やす原因の一つとなっている。このように、国と地方が共に返す当ても無い借金を重ねていけば、政策を実施する経費が圧迫されるだけではなく、金利の水準が上がり、終にはハイパーインフレをも引き起こす懸念さえ出てくる
《具体的なアクション》
日本維新の会は、統治機構の改革により、地方分権型のスリムで機動的な小さな政府による行財政改革を徹底的に行っていく。これは、決して全ての公共事業を否定するものではない。地方を蔑ろにして画一的なものを造るような国主導の公共事業を無くし、無駄や利権にまみれた行政機構等に対して、これまでの既得権としがらみを断ち切り、地方分権に沿った国と地方の役割分担を進め、公の仕事の範囲を明確にし、大阪方式の行財政改革により、政治・行政コストを徹底的に削減していくものである。
和歌山においても、総務省調べで県の借金が2012年で9484億円、県内の市町村の借金が2010年で5113億円となっており、少子高齢化、人口減少傾向の和歌山にとっては将来的に県民一人当たりの債務はさらに増加することが予測され、地方自治体の借金も深刻な問題となっている。
日本維新の会は、和歌山においても徹底した行財政改革、自然環境や観光資源を活かした新しい産業の立ち上げによる増収、過疎化を見据えコンパクトシティ的な着想をもった居住区域の再配置による社会資本コストの削減等によって財政規律を守り、地域財政の健全化を目指していく。
・和歌山再生のための統治機構改革
《現況の問題点・課題》
現代の統治機構が形成されたのは明治時代であり、経済や情報、文化等を官僚が一括管理するという東京一極集中の中央集権制度は、大量生産に向いたシステムとして、1970 年代までは大いに機能していた。
1980年代以降には大量生産の時代は終わり、多様化、専門化の時代へと変化する中で、それまで長所とされていた中央集権、官僚主導、護送船団型の国家運営は、成長の大きな妨げとなり、日本の成長は鈍化していった。
特に、交付税や補助金頼みであった地方は、地域の個性を無くし、人口減少や、高齢化が進む中、どんどん衰退している。国交省の調べでは、2050年には日本の殆どの地方の人口が半分以下(和歌山においては2040年の人口推計で50万人を割るという推計さえある)となっている。現在の統治機構を変えないままでは、東京以外の地方はどんどん疲弊し、やがて崩壊・消滅してしまう。
《具体的なアクション》
統治機構改革は、日本維新の会の政策集である維新八策の第一番目に謳われているものであり、その中でも、中央集権型の国家から地方分権型の国家への改革こそが、日本維新の会の一丁目一番地の政策であるとしている。日本維新の会の統治機構改革は、中央集権を打破し地方分権を成し遂げることで、道州制のもとに地域と個人が自立できる社会システムを確立し、魅力を持った地方として再生することを標榜している。
地方分権の目的は、供給者側(東京一極集中の官僚)の政策を、消費者側(地方の受益者側)の民意を反映させた政策にシフトしていくことである。多様化、専門化する時代に対応し、地方の財政的な自立を目指していくことであり、この地方分権以外に、疲弊していく地方を抜本的に再生振興させる政策はありえない。
しかし、地方分権は地方間での競争も含め、地方自体がリスクを取るものであり、必ずしも全ての地方にバラ色の未来を約束するものではない。それでも、国の政策に依存した地方自治から脱却して、地方自らが地域のポテンシャルを最大に活かす為の政策を出して無駄を無くし、本当の意味での地方自治を目指すことによって、その地域に明るい未来を創って行ける可能性は限りなく広がっていくと考える。
和歌山においても、その恵まれた自然環境や世界遺産に登録されている由緒ある歴史等の特性を活かした政策をもって、新しい観光産業や農林水産業ビジネスの振興から、個性の光る自立した地方自治を目指していく。
・SNSを用いた情報伝達手段の構築
(災害時に携帯は繋がらなくてもSNSの利用は出来るため、家族との連絡手段を周知)
《現況の問題点・課題》
東日本大震災や紀伊半島大水害等の大規模災害時においては、携帯通話を中継する基地局の回線パンクを防ぐため通信規制が行われた。結果、連絡手段としての携帯電話が極端に繋がりにくくなり、家族間の安否確認を始めとする各々の情報伝達が出来なくなるケースが続出した。
《具体的なアクション》
電話回線が繋がらなくなった場合、インターネット回線によるデーター通信手段である、SNSのSkype、LINE、Facebook、Twitter等においては、回線を効率的に利用できる為、電話回線に比べて災害時の通信規制が少なく、大災害時の通信手段として非常に有効なツールと成り得る。
和歌山においても、SNSは今後予測されている南海トラフ地震等に備えての災害時コミニュケーションツールとして通信手段の最後の砦と成り得るものであり、一般の県民に広く周知させていかねばならない。その為には、高齢者を含めた全ての県民に対し、誰もがSNSを使えるように優しく解説、説明して訓練を行い、災害時においてのSNSの活用方法を身につけてもらえるようなイベントを県内各地で催すことにより、出来るだけ多くの県民が災害時の連絡手段を確保できるよう尽力していく。
・居住地域の再配置
《現況の問題点・課題》
日本社会全体が、高度成長時代の人口増加社会から低成長時代で少子高齢化が進む人口減少社会へと移行していく中、和歌山の人口も2012年4月1日現在の推計で98万9983人と100万人を割り込んでいる。さらに近い将来の2045年の推定人口では、2000年比の半分以下(50万人を割る)になるという著しい人口の減少が予想されている。
また、その人口構成についてもさらに少子高齢化が進み、圧倒的に若者や子供が少ない逆ピラミッド型の人口構成となっていることも非常に深刻な問題である。このような中で、人口減少をくい止める施策を打っていくことはもちろんだが、行政システムを維持していく観点や防災・災害面からも、居住地域の再配置ということを含めて根本的に町づくりを考え直さないといけないタイミングがきている。
《具体的なアクション》
和歌山では、急激な人口減少と少子高齢化に対応する為に、廃屋や廃村、限界集落の問題等を踏まえた公共施設の配置、増大が見込まれる医療・年金・生活保護等のセーフティネット維持等の諸問題に対応しながら行政システムを維持していく為に、コンパクトでスリムな行政組織をもったコンパクトシティという概念のもと、対策を考えていかねばならないと考える。
コンパクトシティとは、既存の市街地の衰退を招く都市の郊外化への進展を抑制し、市街地のスケールを小さく保ち、コミュニティの再生や高齢者に優しい、安全で住みやすい町づくりを目指そうとするものである。住宅や職場、店舗、病院等、生活に必要な機能を中心部に集め、公共交通機関や徒歩で暮らせる凝縮された街にすることによって、上下水道や道路、福祉等の社会資本コスト、社会保障費を抑制しながら、行政システムを維持できるシステムでもある。
また、コンパクトシティでの自動車に頼らない効率的な都市活動は、環境にやさしい低炭素社会にも通じるものである。私たちは、コンパクトシティへの移住を推進していくために、例えばコンパクトシティ推進法のような施策をもって、移住にインセンティブを与えることで居住区域の再配置を応援していく。しかし、決してハコモノ行政の手段として利用されることなく、既存ストックを最大限に有効活用しながら、居住地域の再配置に取り組んでいきたい。
また、移住にインセンティブは与えるが、決して移住を無理強いするのではなく、あくまでも居住の自由を尊重する。さらに、津波等の防災・災害面からも、安心して住める対策が施されたエリアも念頭に置いた計画的な街づくりを目指し、居住区域の再配置を図っていく。
・高速道路の高機能化
(津波時の避難場所確保・援助困難の防止)
《現況の問題点・課題》
東日本大震災の際、耐震補強を施された高速道路は、一般道の迂回路や緊急輸送路としてはもちろん、緊急避難場所として多くの人々を救った。しかし、和歌山においては、南海地震の発生が非常に高い確率で予測されているにもかかわらず、高速道路を津波の避難場所として周知していなかったり、一時避難場所や避難階段等の設備が無かったりする。また、特に甚大な津波の被害が想定される紀南地方では、高速道路の敷設さえ遅れている現状である。
《具体的なアクション》
和歌山において、既存の高速道路の整備や新たに高機能化された高速道路の敷設は、産業振興や観光面での大きな便益だけではなく、大津波を想定した災害対策面からも必要不可欠なものである。高速道路インフラを津波時の防災施設として十分に利用する為には、高速道路上に避難スペースを確保し、地上から高速道路にスムーズに高台避難出来るような避難階段やスロープ、そして一時避難場所を設け、近隣の住民の方に高速道路を津波からの避難場所として認知して貰うことが不可欠である。
現在、和歌山では紀南地方の国道42号「那智勝浦道路」において、那智勝浦町と道路管理者(国土交通省近畿地方整備局)が調整し、インターチェンジの空き地を避難場所として利用するために一時避難場所、避難階段・スロープ等を設置し、那智勝浦町の防災マップの避難場所として位置付けている。しかし、未だこのような施設はここだけに留まっており、今後このような施設を増やしていかなければならない。
また、高速道路が未敷設な紀南地方においては、高機能化された高速道路の沿岸部への敷設は、大津波に対する防潮堤としての機能も大いに期待出来るものである。日本維新の会は、災害時の緊急輸送路としてはもちろんだが、高速道路インフラの副次的な効果をもって、防災災害対策として十分に機能を発揮出来るよう、しっかりと働きかけていく。
・いじめ撲滅への徹底した取組―ネットいじめへの対応
《現況の問題点・課題》
全国の小中高校生のいじめ件数は、文部科学省における2013年統計で約20万人となっており、うち自殺者は196人にも上っている。これは非常に悲しいことであり、絶対に見過ごすことのできない問題である。
そのような中で、特に近年では、10代に圧倒的な人気を誇るスマホの無料通信アプリのLINEを媒介として、いわゆる「LINEいじめ」が深刻な問題となってきている。小中学生がLINEのグループトーク内での「既読スルー」「書き込み」等をきっかけにして、いじめに遭ったり自殺したりする例が多く報道されている。和歌山における2013年の全国統計では、ネット(スマホ)利用率が中学生4位、小学生6位と子供の利用率が極めて高く、スマホ機能を利用した「LINEいじめ」も急増している。
《具体的なアクション》
現在、和歌山では「県いじめ防止基本方針」を策定し、いじめへの社会全体での取り組みや教職員の資質向上、道徳教育の充実等を図り、また目安箱的な相談サイト等を創設し、いじめ問題に対応している。我々、維新の会としても「弱者を徹底的に守る」という維新の基本的な理念のもと、特にいじめ対策全般に積極的に取り組んで行く覚悟である。
しかし「LINE いじめ」は、外部から実態が把握しにくく、野放しになることも多い為、コミュニケーション能力が未熟な子供たちにとって、非常に危険なものとなっている。愛知県刈谷市の小中学校では「LINE いじめ」の対策として2014年3月、学校とPTAの連名で、午後9時以降のスマホや携帯電話を使わせない試みを始めた。
これには賛否両論あり、当面の対応としては止む無しという所もあるが、やはり本筋は今日の情報化社会への大きな流れの中、情報リテラシー能力の習得は必須なところである。子供たちにとって携帯やスマホは道具であり、道具に使われるのでは無く、道具を正しく使いこなせる様に、その正しい使い方、賢い使い方をきちんと教え、同時に、人として他人を思いやる心を説いていくことこそ重要であると考える。
そして、絶対にネットを介した「いじめ」はさせないよう、学校教育の中でLINEを代表とするSNS全般についてのマナーやエチケット、道徳等のネットリテラシー教育を徹底的に施して行けるよう努めていく。
・子供の読解力や語彙力の低下への対応
(美しい日本語の継承)
《現況の問題点・課題》
和歌山では、2003年度からすべての公立小・中学校を対象に、学力診断テストを実施した。その結果、国語科のみならず、その他の教科においても読解力、語彙力、思考力、表現力等に課題があることが明らかとなり、現在においても、国語力向上に向けた取組を継続して推進している。
しかし、直近の和歌山における2014年全国学力調査の47都道府県中の全国順位は、国語 A(話すこと、聞くこと)が小六47位・中三44位、国語B(書くこと)が小六42位・中三45位という非常に厳しいもので、県教委も「危機的状況」だと頭を抱えている状況である。
《具体的なアクション》
近年の子供の国語力の低下は、日本人の生活環境の変化にあるといわれており、インターネットやゲームに没頭することにより、読解力、語彙力、思考力、表現力の養成に必要不可欠な読書量が圧倒的に減っていることが大きな原因であるといわれている。最近では、携帯電話、スマートフォンの普及がそれに輪をかけて読書時間を奪い、国語力の向上を疎外している感は拭えない。
このような中で、和歌山においては、特にスマホ利用率やゲームプレイ率が非常に高く、それに伴い読書率が低く、国語力も低いという統計が出ている。そして、親が携帯やスマホを軽々に子供に与え、それをコントロール出来ない子供がゲームやLINE等に没頭し、国語力がどんどん低下していくという負のスパイラルが展開されているのが見てとれる。
和歌山においての関連する統計
(都道府県別統計とランキングで見る県民性 2013 年より)
・中学生長時間ゲームプレイ率:1位
・小学生長時間ゲームプレイ率:6位
・中学生長時間ネット(スマホ)利用率:4位
・小学生長時間ネット(スマホ)利用率:6位
・中学生読書率:46位
・小学生読書率:45位
和歌山の子供たちに、ネットやゲーム依存を自制する能力を持ってもらい、読書を通して国語力を上げて行ってもらう為には、子供たちに将来の自分像を想像させる中で、どんなに国際化が進んでも、何をするにしても、国語力は人の質を高めるために絶対に欠かせないものであるということ。国語力=人間力であるということを認識させることが重要であると考える。
そして、それを養成する為の読書の重要性や、おもしろさを説いていくことで、子供たちの国語力を再構築し、教育立県を目指していく。ひいては、それが日本の文化を尊重し、美しい日本語を継承していくことになると考える。
・雇用問題、中でも維新は高齢者雇用に徹底して取り組む
《現況の問題点・課題》
日本の少子高齢化は急速に進んでおり、遠からず世界に例を見ない水準の高齢社会が到来するものと見込まれている。このような中で、日本の高齢者の就業意欲は国際的に見ても非常に高い水準となっている。特に、公的年金の支給開始年齢が65歳まで引き上げられることもあり、生活していく上での収入を得るためという経済的動機が、就業意欲の大きな要因となっている。
その一方で、社会参加に対する意欲や就業を生き甲斐とする志向、体に良いからという健康志向等の意識が強いことも、高齢者の就業意欲の要因として少なくない。平成24年の総務省調べでは、和歌山においても60歳以上の高齢者の就業率は30.4%と全国30位ながら実際、県内の高齢者の就労意欲は高くなっている。
平成22年の和歌山民全員の完全失業率(仕事をしていない人のうち仕事をしたい人の割合)が6.7%に対して、60~64歳の男性高齢者が10.2%(男女合算では7.5%)と全体より高くなっており「働きたい高齢者は多いが働く場所が無い」といった現状が見てとれる。
《具体的なアクション》
高齢者の雇用創出への取組として、和歌山においても平成25年に改正された「高年齢者雇用安定法」に基づき、事業主に対しては65歳までの継続雇用を推奨し、また求職者に対しては、シルバー人材センター等で、多様な就業機会の確保、提供に努めている。しかし、現状では継続雇用や、高齢者が無理なく働ける場所はまだまだ足りない。
また、高齢者の就業率の高い地域では老人医療費が低くなる傾向があり、高齢者の社会参加とそれを可能とする健康づくりの促進は、高齢者の生きがいの確保のみならず、持続可能な社会保障制度の再構築の観点からも重要であると考える。そのような中で、和歌山においても、森林資源を活かした木質バイオマス発電のトリジェネレーションシステムを用いた植物工場の誘致等は、高齢者標準の雇用体系を備えた新産業の一つとして期待されている。
また、高齢者の方がその人脈や人生経験を活かし、社会貢献にも繋がる様々なNPOに就業することにも、積極的にインセンティブをつけて高齢者の雇用を促していきたい。このように、高齢者の方が安心して働ける場所を創設したり、生きがいを追求しながら働ける環境を確保していく為に、日本維新の会は高齢者雇用に徹底して取り組んでいく。
・統合型リゾート誘致による雇用の創出
《現況の問題点・課題》
自民、維新、生活が国会に提出した統合型リゾート推進法案は、2014年6月においての成立は見送られ、今秋の臨時国会以降に持ち越されることになった。この法案が可決されると、日本初の統合型リゾート(IR)創設が現実化していく。道州制を見据えた和歌山の位置づけとして、観光立県を標榜しつつも実態が伴わない中、今回の制度は非常に重要で、観光産業再生への起爆剤となることが大いに期待される。
また、平成 22 年の国勢調査によると、和歌山の若年層(15~24才)の完全失業率は12.9%と非常に厳しい値となっており(全年代では6.7%)、この若者の雇用対策としても特に若者を中心に絶大な雇用を創出する統合型リゾートの誘致は、千載一遇のチャンスであり、このチャンスを逃がすと大きな雇用の機会を無くす恐れがある。
《具体的なアクション》
カジノを含めた統合型リゾート(IR)は、雇用や税収増が見込める他、地域経済の活性化、観光振興のツールとしても有望視されており、大阪商業大学アミューズメント産業研究所の試算では最大8兆円規模の経済効果があるといわれている。実際、2010年にIRを開業したシンガポールにおいては、その統合型リゾートが3万5千人の雇用を生みGDPが6%上昇したという現実がある。
また、若年層の失業率が50%以上のスペインにおいては、若者雇用の切り札はIRであると位置づけ、2大都市でのIRの建設を発表し、最大25万人の雇用創出を見込んでいる。日本においても、国内初の統合型リゾートの誘致は始まっており、大阪市では既に湾岸部にある「夢洲」をIR建設予定地にする方針を明らかにしている。
関西圏において、二つ以上の都市型IR創設は難しく、和歌山における関西で唯一のIRを誘致する為の施策は、待った無しの状況となっている。このように、IRの誘致は和歌山においても、絶大な観光振興や雇用創出が期待出来る大プロジェクトだが、一方ではカジノ創出による様々な社会的な問題があるのも事実である。
私たちは、これらの社会問題への対策も含め、県民にIR誘致の青写真を示し、充分なコンセンサスを執りながら、民間事業者との協同を迅速に進め、和歌山を挙げてIRを誘致することで、和歌山の雇用(特に若者の雇用)創出と観光産業の徹底的な振興を図っていく。
・新しい農林水産業への新規参入者を促す取り組み
《現況の問題点・課題》
和歌山は、温暖な気候と陽光に恵まれた条件を活かした農林水産物が豊富で、これらを生み出す農林水産業は、県経済の一つの柱となっている。しかし、農林水産業の和歌山内の就業者は、国勢調査においてピーク時の昭和25年は約20万人であったものが、平成17年には約4万9千人と激減している。中でも、さらに問題なのは農林水産業への就業者において、高齢化に拍車のかかる状況となっていることである。
和歌山において、未来に大きな期待を寄せられている農林水産業を再建し、基幹産業として県経済のさらに大きな柱と成ってもらう為には、農林水産業への新規参入者を県内外から広く呼び込まなければならない。
《具体的なアクション》
高度成長時代が終わり、多様化の時代を迎えた近年において、大量生産・高速型のライフスタイルに対し、ゆっくりした暮らしを志向するスローライフやロハスという考え方が提唱され始めている。地産地消や歩行型社会を目指す動きが出てくる中、都会からIターンやUターンをして、農林水産業に就業を希望する人も多くなって来ている。
国県市町村においても、就業支援フェアやイベント、研修制度、補助金等々の施策を講じて、農林水産業への就業を後押ししており、関心も高まってきている状況にある。そのような中で近年、農業であれば野菜工場、林業であれば木質バイオマス関連事業、漁業であれば養殖産業、さらに農林水産物の開発から加工、流通までを一貫して行い進化させた6次産業的な農林水産業ビジネス等には、これからの新しい農林水産業としての注目が集まり、まさにチャンスの時代となっている。
このような新しい農林水産業は、従来の農林水産業に比べ、ブランドとしての競争力も高く、まさに将来への可能性を秘めているものである。私たちは、この新しい農林水産ビジネスを育成することで和歌山に新たな雇用を創出し、農林水産業への新規参入者を促していく。
・木(紀)の国和歌山の再建、林業振興と自然エネルギー事業の推進
《現況の問題点・課題》
古来より「木の国」といわれる和歌山は、県土の77%が森林に覆われている森林県であり、かつて林業は県の基幹産業として隆盛を誇っていた。しかし戦後は、安い木材の輸入や建築様式の変化、そして薪や木炭から化石燃料に大きく依存したエネルギー源の変化等によって国産木材の価格は下落し、その使用は減り続ける。
林業活動は厳しさを増し、林業産出額はピーク時の昭和55年には約241億円であったものが平成22年には約36億円と激減し、それと共に林業就業者数もピーク時の昭和35年には13,363人、昭和55年には4,077人、そして平成22年の1,297人へと激減している。このような状況の中、山村の過疎化、高齢化と相まって森林は放置され荒廃し、和歌山の林業は崩壊の危機に瀕している。
《具体的なアクション》
2010年に「公共建築物等における木材利用の促進に関する法律」が施行され、近年、新しい木造建築に注目が集まってきている。そのような中で、CLT工法による高層ビルの木造化や防火性、耐震性に優れた新しい都市木造建築の創造と共に、国内の森林・林業再生プランをはじめとした、国産木材への回帰というトレンドが形成されつつある。
また、地球温暖化や廃棄物問題への対応が迫られる中、自然エネルギーのひとつとして、既に存在する森林資源を利用した木質バイオマスにも注目が集まっている。これらは和歌山の林業再興において千載一遇のチャンスとなりえるものである。
木質バイオマスは、近年の技術革新によってエネルギー効率が高められ、主に間伐未利用材を木質ペレット等に加工し、カーボンニュートラルという考え方のもとで、環境面に負担をかけずに発電、熱利用、燃料、肥料等に変えていくものである。
特に、電気と熱、冷熱を同時に供給することが出来る、効率の良いコージェネレーションシステムである木質バイオマス発電については、その固定価格買取り制度により1キロワット当たりの未利用間伐材が33.6円、一般バイオマスが25.2円、建築リサイクル材が13.65円と定められており、未利用間伐材の使用を強く奨励している。
未利用間伐材をスムーズに供給するためには、荒廃した森林を再整備し、林業を再生していくことが不可欠であり、それによって木質バイオマスの利用拡大が進み、さらに林業が復興するという、木質バイオマスと林業の相乗的なサイクルを創り出す。
また、新しい木造建築の需要が喚起される中、集成材利用技術の進歩によって、間伐材は木造建築の集成材として活用することもできる。このように、私たちは「木の国」和歌山での林業振興と自然エネルギー事業の推進を強く推し進めていく。
・和歌山の基幹産業である水産業・養殖産業の大きな飛躍にむけて
《現況の問題点・課題》
日本有数の漁業県である和歌山において、その漁獲量はピーク時である昭和50年の 66,861トンに対し平成21年は27,323トンと、遠洋のみならず近海においても年々減少している。それに伴い水産業従事者数も2013年漁業センサスによると、ピーク時である昭和50年の9025人に対して、平成25年には2907人へと激減している。また、高齢化も顕著でありこのままでは本来、将来有望であるはずの水産業が和歌山ではまさに斜陽産業となってしまう。
《具体的なアクション》
世界的な人口増加や、発展途上国の生活レベル向上による飽食化から、世界的に水産資源の不足が顕著になっており、地球レベルでの争奪戦が始まっている。それを象徴するものがマグロの乱獲であり、中西部太平洋マグロ類委員会(WCPFC)は、クロマグロの幼魚の漁獲枠を2015年から過去の実績の半分とすることで合意した。今やマグロは我が国だけの食材ではなく、近年の和食ブームもあって台湾や中国を始めとする世界中で需要が高まっている。
そのため、需要に対応しきれていないのが現状であり、世界的にマグロの需要が高まる中、和歌山串本町の近畿大学水産研究所は、2002年にクロマグロの完全養殖に成功し、各方面から大きな期待が寄せられている。これは水産資源を保護し、獲る漁業から育てる漁業への転換モデルとして、大きなビジネスチャンスに成り得るものであり、このチャンスを逃すことなくクロマグロの養殖産業を、和歌山の基幹産業として育てて行くことが重要であると考える。
現在、既にクロマグロの人工種苗は他の養殖場に販売され、成魚は百貨店・飲食店等に販売され、都心の直営店ではマグロや、和歌山の食材を使った料理を提供しており、そのブランド化、商業化を進めている。しかし、今やマグロの完全養殖事業には豊田通商や双日、三菱商事等の総合商社、日本水産等の水産食品会社等が続々参入してきており、せっかく和歌山で育んだものであるが、その拠点を九州や四国、奄美等に移されており、このままでは和歌山が取り残されてしまう可能性が出てきている。
今後は、和歌山がその研究拠点だけではなく量産拠点となる取組が重要であり、その為には、これまで以上に養殖クロマグロの研究への支援、協力を惜しまず、養殖クロマグロ=和歌山というブランドをもっと明確に確立させることが至上命題である。そして、養殖産業を和歌山経済の成長の一つの柱として位置づけ、同じく和歌山で人工孵化に成功した高級魚クエの養殖等も含めて、和歌山が日本の水産業、養殖産業の核となれるよう、その可能性を追求していく。
・民間主体で観光事業を推進し行政が徹底してバックアップ
《現況の問題点・課題》
観光立県を標榜する和歌山は、その恵まれた自然環境や景観、世界遺産に登録されている由緒ある歴史を有しており、高野熊野の霊場、複雑に入りくんだ風光明媚な海岸線、温泉、海山の幸、和歌山ラーメン等々の名所名物にも事欠かない。
しかし、和歌山内のホテルや旅館等の総数は、昭和50年の全盛期の811軒から、ほぼ半減しており、それに関連した様々な産業も縮小の傾向にあり、和歌山の観光産業の 現状は非常に厳しい状態にある。その一因として、行政主導の観光振興策が全国的に標準化されたありきたりなものとなっていることが挙げられており、実際に観光客の減少に歯止めはかかっていない。
《具体的なアクション》
和歌山の基幹産業として観光ビジネスを復活させる為には、行政主導の行き詰まった観光振興策から脱皮し、民間の知恵をもって独創的な観光振興策を採り、新たな観光ビジネスモデルを作りだすことで、現状の閉塞感を打破していかなければならない。
そして、オリジナリティーのある優れた民間のプロジェクトを採用する必要があり。また、委託するためにはその手法として、プロモーション分野、イベント分野、実業分野というような各分野ごとにプロポーザル方式やコンペ方式をもって、広く民間企業からの提案を求めることが重要である。そしてそれを検討採択し、各分野の民間事業者に行政が観光予算を委ね、運営委託していくことが必要であると考える。
このように、和歌山の素晴らしい観光資源を徹底的に活かした民間のフレキシブルでオリジナリティーのある観光施策をもって、それを行政がバックアップして推進、実行することにより、観光立県和歌山の再興を実現していきたい。
・地域の特徴を活かした体験型観光の徹底した推進
《現況の問題点・課題》
現在、国内観光に対するニーズは既に成熟化し、物見遊山・団体旅行・宴会型等の出発地で企画される旧来の発地型観光から、地域自らが観光資源を活かし企画し、個人や家族に参加してもらうオンリーワンで付加価値の高い着地型観光へと変わりつつある。
さらに、着地型観光の中においても、スローライフやロハスという考え方によるライフスタイルの変化は自然とのふれあい、ゆとり、安らぎ等、経済的な豊かさよりも精神的な豊かさを重視する体験型観光へと観光客の価値観は転換し始めている。近年、和歌山でも体験型観光の振興に力を入れているが、県内の各観光地が必ずしも成功出来ていないのが現状である。
《具体的なアクション》
着地型の体験観光の成功例としては、団体旅行や研修の受け入れに焦点を絞り、400軒以上の農家が民泊を受け入れて、機織りやそば打ち体験、渓流釣りやラフティング等 130以上の体験型観光のコースをそろえている長野県の南信州交通公社の取組が挙げられるが、実際に全国全ての体験型観光地が儲かっているというわけではない。
しかし、着地型の体験型観光をやろうとすることは、地元の歴史や文化、環境等を住民自身が見直して、それを魅力的なものにしていくという努力を引き出し、それがそのまま「町づくりや地域おこし」につながるというプロセスは決して無駄にはならない。
そのような中で、新しい分野である体験型観光を成功させる為には、その企画を観光客に知ってもらう為のプロモーションというものが非常に重要である。行政の支援、外部の旅行会社との連携等はもちろんだが、特に近年、SNSを活用することにより集客を図ることも可能となってきた。
さらに、SNSを通して日本国内だけでなく例えば、外国人の方に体験型旅行をしてもらい、その情報をSNSで海外に発信してもらったりするようなプロモーション等も含めて、海外からの集客に目を向けた着地型観光の可能性を考えていくことは、これからもっと重要になってくると思われる。
例えば、岐阜県と富山県にまたがる白川郷に代表されるような日本的山村風景は、外国人にも非常に人気が高い。実は和歌山にも、全国的な認知度は低いながらも「のどかな干柿の里・四郷」、「高天原の地・天野の里」、「扇形の棚田・蘭島」「那智の里山・色川郷」等に代表される、それぞれ趣のある多くの山村風景は存在している。これらをSNSによって、国内外に向けて斬新な切り口をもったプロモーションや企画を絡めて発信していくような、地域独自の体験型観光への誘致が期待されるところである。
このように、インフラ・ハコモノ整備だけに頼って低迷している20世紀型の観光から脱皮し、地域自らが企画推進する新しい21世紀型の体験型観光を徹底して創造していく。
・和歌山内における渋滞の緩和と車のスムーズな運行
《現況の問題点・課題》
和歌山は、紀伊水道から熊野灘に沿った起伏のある海岸線と内陸部には険しい山々が連なっており、その地理的な要因からも未改良道路が多く存在し、道路網整備が非常に遅れている地域となっている。また、和歌山市や県内都市部近郊の慢性化した交通渋滞も含めて、和歌山の経済活動や観光振興、住民の日常生活に大きな支障を与えている。
《具体的なアクション》
県全体の道路網の中で、慢性的な渋滞の発生場所や通行が困難な個所にバイパスの新規敷設や該当道路を拡幅整備し、安全な通行や渋滞の緩和に努めていくよう要望していく。
・国道42号線の和歌山~海南間の渋滞緩和(それを補う他の幹線道路の整備敷設) 第二阪和道路の早期完成と、その他の府県道路の整備促進
・京奈和自動車道の早期完成
・国道42号線海南有田バイパスの早期実現
・国道424号線と国道370号線、371号線の整備促進国道424号線の整備促進
・粉河加太線と近畿自動車道有田~田辺間の4車線化
・近畿自動車道紀勢線の紀伊半島一周と有田以南の4車線化の早期実現
・高速道路を補完し、県内各地へ連絡する幹線道路(田辺~橋本)(新宮~和歌山市)等の早期整備サービスエリアや道の駅等の活性化
...等々を実現出来るよう要望していく。
また、渋滞軽減やスムーズな車の運行に関しての一方策として、主要ターミナルにパークアンドライド方式を取り入れることによって、公共交通機関の利用を促す。また、それを利用しやすい様に交通機関や駐車場を再整備していくことも検討していく。
・観光医療産業の徹底した推進(医療特区を視野に)
《現況の問題点・課題》
観光立県を標榜する和歌山の観光産業は、近年の観光客数の減少により、ホテル・旅館の総数が昭和50年のピーク時で811軒あったものが約半数へと減少した。それに関連したさまざまな事業、サービスも縮小・均衡の傾向にあり、非常に厳しい状況にある。このような状況を打開する為には、従来からの画一的な観光旅行に新たな価値観を加えた新観光事業の推進が不可欠である。
《具体的なアクション》
和歌山の観光産業を復興再生させる為に、既存の観光事業に新たな価値観を加えた新観光事業の一つとして、特に観光と医療、中でも予防医療、代替医療、ヘルスケアの分野を結びつけた観光医療産業は、新たな新産業として大きな成長が期待できるものである。
そもそも、予防医療、ヘルスケアというものは観光分野との組み合わせが非常に良く、特に和歌山には、豊かな自然や伝統・風土に育まれた「いやしの地」として、予防医療、ヘルスケアに応用可能な観光資源が多くある。
例えば、農産物では梅やみかん、水産物では新鮮な魚介類や海藻類、食文化としては茶がゆ、なれずし、サンマずし等の健康志向の強い商品、また、予防医療において欠かせない温泉、海洋資源としての海を活用したイルカセラピーやタラソテラピー、これらに代替医療の東洋医学を組み合わせ自然治癒力を増加させる療法等々。
そして、こういった恵まれた観光資源をばらばらに活用するのではなく「人間を健康にする地域」「いやしの地・和歌山」といった統一した切り口でそれぞれを連携させ、より価値の高いものとして商品化し、地域全体としてブランド化して売り出していくことが有効となる。
また、近年、和歌山の老舗ホテルは、リニューアルの時期が来ており、これを機会に療養機関、医療施設として、ホテルの一部業態を変えていくことにより、観光医療産業としての新たな価値を生み出せる可能性があり、これらを資金的にサポートする制度も必要であると考える。
このように、私たちは、和歌山の「いやし」の特性を活かし、さらには医療特区を視野に入れた観光医療産業を徹底して推進し、発展させて行けるよう全力で取り組んでいく。